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芥川龍之介「本所・両国」のある風景 「富士見の渡し」

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 「僕等は両国橋の袂を左へ切れ、大川に沿つて歩いて行つた。「百本杭」のないことは前にも書いた通りである。・・・
・・・僕は確かこの近所にあつた「富士見の渡し」を思ひ出した。が、渡し場らしい小屋は何処にも見えない。僕は丁度道ばたに芋を洗つてゐた三十前後の男に渡し場の有無をたづねて見ることにした。しかし彼は「富士見の渡し」といふ名前を知つてゐないのは勿論、渡し場のあつたことさへ知らないらしかつた。・・・」
(芥川龍之介「本所両国 「富士見の渡し」)

「富士見の渡し」は、現在の総武線両国鉄橋の付近にあって浅草柳橋から本所両国付近を結んだ渡し場で、晴天には富士が望めることから付いた名である。

「富士見の渡といふ渡あり。この渡はその名の表はすが如く最も好く富士を望むべし。・・・・」( 幸田露伴「水の東京」)

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