五重塔のある風景 光徳院の五重塔

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 光徳院の五重塔は、平成7年落慶の新しい塔である。

 近くに哲学堂公園があり、妙正寺川にも近い住宅街の中の五重塔である。

 光徳院は七星山光徳院息災寺と号し元々は半蔵門にあったが、江戸城構築に際し、牛込市ヶ谷田町に転じ、さらに牛込柳町に移り、明治43年現地に移転した。

 所在 東京都中野区上高田5-18-3

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荷風の風景(その2) 「銀座風月堂」

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           銀座風月堂

 「大正十年十月五日 百合子来る。風月堂にて晩餐をなし、有楽座に立寄り相携へて家に帰らむとする時,街上号外売りの奔走 するを見る。道路の談話を聞くに、原首相東京駅にて刺客のために害されしといふ。・・・・」(荷風「断腸亭日乗」)
 
 独身者荷風は、大正から昭和の初めにかけて、よく銀座に出かけ、食事をしたり、喫茶店で親しい知人たちと雑談をしたりしてシングルライフを楽しんでいた。

 荷風の日記「断腸亭日乗」には、風月堂、太牙、モナミ、オリンピック、銀座食堂といったレストランの名がよく出てくる。

  「昭和二年五月廿九日快晴 松延大伍英児の三子と風月堂に晩餐を食す、・・・・」(荷風「断腸亭日乗」)

  松延子は二世市川左團次の俳号。 荷風とは親交がありよく食事をともにした。 

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広重のある風景(その3) 江戸近郊八景乃内「玉川秋月」

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  多摩川(和泉多摩川付近)

 広重の江戸近郊八景乃内「玉川秋月」は調布、狛江あたりを流れる多摩川の風景を描いたものである。

 広重が描く玉川は歌枕としてよく詠まれる六玉川の一つで、山梨県の笠取山から流れ出た「市の瀬川」を源流とし、東京都の調布あたりで多摩川と呼ばれ、早くから浮世絵その他の画題になっていた。
 北斎の富嶽三十六景「武州玉川」もこの辺りの風景を描いている。

 現在の風景は小田急小田原線「和泉多摩川駅」下車歩いて5分ぐらいで現れる。

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清親・安治のある風景(その3) 清親「九段馬かけ」

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       靖国神社

  「社前は平面広闊にして、数十のらんぷ、一筋の参詣道を挟み、同所両側は、競馬場にて、数十株の桜花を栽ゑたり。」(明治10年刊東京名勝図会)
  
  靖国神社に競馬場があった。 

  清親の作品にも靖国神社境内で行われた競馬の風景を描いた「九段馬かけ」の絵がある。

  当時靖国神社では、毎年春秋の例大祭に競馬が行われ東京の名物となっていたのである。

  東京メトロ東西線、都営新宿線九段下下車

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文学のある風景 鶴の噴水

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  喨々(りょうりょう)とひとすじの水ふきいでたり
  冬の日比谷の鶴のくちばし

   (北原白秋)

 鶴の噴水は、日比谷公園の雲形池にある。
 明治36年6月1日公園開園時から公園の名物で、明治・大正の錦絵などにもよく描かれている。

  その日は晴れてはいたがつめたい風が吹いていた。
 雲形池に行き鶴の噴水を見ると寒さのためか、青銅の鶴は氷のベールを羽織った羽交(はがい)をキラキラと薄陽に光らせていた。

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五重塔のある風景 高幡不動の五重塔

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   高幡不動の五重塔

 新宿から京王線の特急電車に乗って30分、高幡不動下車。参道の商店街を貫けると突き当りが高幡不動の入口仁王門である。

 五重塔は、その境内に建っている。

 昭和55年(1981年)建築の平安時代の様式で建てられた鉄筋コンクリート造の新しい五重塔である。

 高幡不動尊は、真言宗智山派別格本山、高幡山明王院金剛寺と称され古来関東三不動の一つに挙げられている。

新選組ゆかりの地・土方歳三の菩提寺。土方歳三の立像がある。

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荷風のある風景(その2) 道源寺坂

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      道源寺坂

 「昭和九年三月十八日 晴れてあたたかなり・・・・・黄昏銀座に往かむとて道源寺阪を下る時、生垣(いけがき)の彼方なる寺の本堂より木魚の音静に漏れきこゆ。幽情愛すべし。」

 梅が香や木魚しずかに竹の奥
 (永井荷風 「断腸亭日乗」)

 「荷風は銀座や下町に出かけるときは、・・・裏道、つまり、崖道のような道源寺坂を下って谷町に出て、福吉町停留所から市電に乗るのが普通だった。」(川本三郎「荷風と東京」)

 道源寺坂は、坂の上に道源寺があり、その寺名にちなんで道源寺坂と呼んでいた。
 アーク森ビルの南、六本木二丁目交差点から六本木一丁目三番と四番の間を東南へ上る坂道である。スペイン坂が並んである。
 坂下には東京メトロ南北線「六本木一丁目駅」の出口(3番)がある。

 「・・・道源寺坂は市兵衛町一丁目住友の屋敷の横手より谷町電車通へ出づる間道にあり。坂の上に道源寺。坂の下に西光寺といふ寺あり。この二軒の寺の墓地は互いに相接す。」(永井荷風 「断腸亭日乗昭和十年六月三日」)

 西光寺は東京大空襲で焼けたが、道源寺は焼けずに当時の姿を残している。

 道源寺坂を登りきり広い道に突き当たったところを右に折れしばらく行くと道の右手の茂みの中に偏奇館跡の碑が立っている。

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広重のある風景(その3) 東海道五拾三次之内「日本橋朝之景」

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       日本橋

   広重の浮世絵に「東海道五十三次之内日本橋朝之景」がある。

  橋の手前には魚屋さんが、当時近くにあった魚河岸から仕入れた魚をかつぎ、また橋の上を大名行列が渡ってくる。

  当時のあわただしい朝の日本橋界隈の情景が描かれている。

  お江戸日本橋七つ立ち、
  初上(はつのぼ)り、
  行列揃えてあれわいさのさ、
  こちゃ高輪、
  夜明けの提灯(あかり)消す
  こちゃえこちゃえ

  (「お江戸日本橋」)

  当時大名が国許に帰る時の旅立ちや町民の商用やお伊勢詣りの旅立ちは、日本橋を明け七ツ(午前4時)に出発し、京橋、新橋を経て高輪あたりで夜明けを迎えるスケジュールを組んでいた。

  日本橋は、慶長八年(1603)江戸幕府によって架けられた。東海道をはじめとする五街道の起点であり、江戸経済の中心となっていた。

  現在の日本橋は石造二連アーチの道路橋として明治44年に完成した。キリンと獅子像が4基ずつ立つ青銅製の灯柱は明治の文明開化の象徴である。国の重要文化財に指定されている。

 ただ現在の日本橋は、その上を高速道路が通り大事な景観を損ねているのは残念である。

  池波正太郎の「江戸切絵図散歩」にこんな一文がある。
  ・・・東京都は由緒ある日本橋の頭上へ高速道路をかぶせる無謀安易なことを実行してしまった・・・

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清親・安治のある風景(その3) 安治「浅草橋之景」

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    浅草橋風景

「井上探景の「浅草橋之景」は、製作年代は不明だが、まだ大正にはほど遠い明治の、この写生位置は、柳を背にして、柳橋と浅草橋の中間から西の方――柳原の方――を見たものである。図中浅草橋のきわに火の見櫓ようの建物が高く書いてあるが、この火の見櫓(消防署)はわれわれの頃にもこの位置にあったもので、消防署の隣が千代田学校だった。この絵の図中の三角屋根の建物が千代田だと云っても、位置は間違いはないものである。」
( 木村荘八「柳橋界隈」)
 
  井上安治の「浅草橋之景」は、神田川最下流に架かる柳橋の方から見た風景である。橋ごしに見える高い建物は消防署の望楼である。

 当時の浅草橋は,明治7年(1874)架橋の石造のアーチ橋であった。
 浅草橋は、浅草寺への道筋にあたり浅草の奥に吉原が出来てからは、浅草寺参りに加え吉原通いの遊客達でこの往還はさらに賑わった。

 現在の橋は昭和4年(1929年)架橋のものでかって消防署のあったあたりには日本橋女学館がある。浅草橋から柳橋の間には現在でも船宿が何軒かあり屋形船が停泊する船溜まりとなっている。

 JR総武線・都営浅草線各浅草橋下車

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文学のある風景 三吉橋

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 三島由紀夫に「橋づくし」という作品がある。

 「銀座板甚道(いたじんみち)の分桂屋(わけかつらや)の芸妓、小弓、かな子、新橋の料亭米井の箱入り娘満佐子とそのお供の女中みなの4人が陰暦8月15日の夜、願掛け参りに出かける。一言も口をきかずに、誰からも話しかけられずに、築地川にかかる7つの橋を渡りきらなければならない。」という話である。

 「 ・・・・程なく四人の渡るべき最初の橋、三吉橋がゆくてに高まって見えた。それは三叉の川筋に架せられた珍しい三叉の橋で、向こう岸の角には中央区役所の陰気なビルがうづくまり、時計台の時計の文字盤がしらじらと冴えて、とんちんかんな時刻をさし示している。  橋の欄干は低く、その三叉の中央の三角を形づくる三つの角に、おのおの古雅な鈴蘭燈が立っている。・・・・・」
  (三島由紀夫「橋づくし」)

 三吉橋の下は首都高速一号線の高速道路になっている。 
 中央区役所は建て替えられ、とんちんかんな時刻をさし示していた時計台はない。ただ三叉の中央の三角を形づくる三つの角には、今もなお「古雅な鈴蘭燈」が立っている。

 三吉橋所在 東京メトロ有楽町線新富町駅下車至近。

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